はじめに|35歳、家族と利用者さんに支えられながら
こんにちは、介護職を始めて約10年になる “M” と申します。
私は 35歳、夫と小学生の娘を持つ一児の母でもあります。介護の世界に飛び込んだのは25歳のとき。もともとは福祉関係の学校を出たわけではなく、祖母の介護をきっかけ にこの仕事に興味を持ちました。
- 入職時の年齢:25歳
- 現在の年齢:35歳
- 家族構成:夫(同い年)+小学生の娘(7歳)
- 勤務先:特別養護老人ホーム(以前はデイサービスにも勤務経験あり)
ここでは私が経験した 「失敗から学んだこと」 と 「成功を感じた瞬間」、そして仕事と家庭の両立で感じた家族への影響や、利用者さんの印象的な感想についてお話ししたいと思います。
1|最初の壁:知識不足からくる失敗と挫折感
1-1|新人時代の衝撃的な失敗体験
最初に入職したのは地元のデイサービス施設でした。新人時代は右も左もわからず、先輩の指示をただ追いかける 日々。そんな中で起きたのが、食事介助時のミス です。
- ある利用者さんに食事をしていただいているとき、嚥下(えんげ)機能 が低下していることを十分に把握しきれていなかった私。
- いつもより少し早いペースでご飯を勧めてしまい、利用者さんがむせてしまう トラブルに。
幸い大事には至らなかったのですが、利用者さんは怖がり、周囲の先輩スタッフからも 「もっとゆっくり食事介助をしなきゃダメよ」 と厳しい言葉を受けました。「このまま続けていけるのかな…」 と落ち込み、その日は涙が止まらなかったのを覚えています。
1-2|挫折感を乗り越えるためにしたこと
この失敗から学んだのは、「介護=常に学びが必要」 だということ。
- 先輩が見守っているから安全、という考え方ではなく、自分自身の知識と判断力 をしっかり鍛えなければいけない。
- その日から、嚥下についての研修資料 や 専門書 を読み漁り、利用者さんごとのケア計画 も徹底的にチェックするようになりました。
挫折しそうな気持ちを支えてくれたのは、当時同じ施設で働いていた先輩たちだけでなく、家族の応援 も大きかったです。夫は「大丈夫、誰でも最初は失敗するよ。Mならできる」と言ってくれて、娘の笑顔にも助けられました。
2|スキルアップと転職:成功を感じた瞬間
2-1|資格取得で見えた新たなステージ
デイサービス勤務を数年経験した後、より深く専門的なケアを提供したい と思うようになり、介護福祉士の資格 を取得しました。
- 資格取得後は、利用者さんのリハビリや身体介助 についても、自信を持って取り組めるようになった
- 施設での評価も上がり、時給や役職面でもステップアップ
私が大きく**「成功」を実感** できたのは、要介護度の高い方の自立支援にしっかり貢献できたとき です。
成功体験:歩行サポートで笑顔を取り戻す
- 入所当初は車椅子での生活がメインだった80代女性
- リハビリ担当と連携しながら、毎日少しずつ歩行練習
- 数ヶ月後には、日常生活の一部で自力歩行ができるようになり、利用者さんの笑顔が増えた
「あなたが支えてくれたから、また歩けるようになったよ」と感謝の言葉をいただいたときは、涙が出るほど嬉しかったです。
2-2|転職によるキャリアアップ
より広い知識や経験を積むため、特別養護老人ホームへの転職を決意。転職活動 は不安でしたが、転職エージェントなどを利用して条件の合う施設を探した結果、「利用者さん本位のケアを大切にしている」 という法人に巡り会えました。
- 前の施設:残業が多い、休みも不規則で子育てと両立しにくい
- 今の施設:スタッフの配置が手厚く、チームで利用者さんをしっかり支える体制がある
実際に働き始めてみると、学びと実践をうまく両立できる環境 だったため、仕事へのモチベーション もぐっと高まりました。
3|家族への影響と支え合う工夫
3-1|子育てと介護の両立に悩む日々
介護職はシフト制で、早番・遅番・夜勤 などの勤務形態も多く、子育てとの両立 は簡単ではありません。娘が小さいころは特に、保育園の送り迎えや発熱などの突発的な休みが重なると、職場に迷惑をかけてしまうこともありました。
- 「保育園のお迎えに間に合わない!」と焦って仕事を終わらせる
- 娘が熱を出して早退、翌日は私が休むしかない
3-2|夫と協力して乗り越えたワンオペ育児】
当初は、私がメインで子どもの世話をしていましたが、夫に頼むところは頼まないと自分がパンクすると気づきました。お互い働いていることを考慮し、夫も積極的に家事や育児に参加 してくれるようにシフト変更。以下のような分担を始めました。
- 夫:朝の子どもの支度、保育園の送り、夕飯の下準備
- 私:帰宅後の子どもの習い事フォロー、土日のレジャー担当
シフト制の介護職だからこそ、夫と相談しながらフレキシブルな分担 を試すことで、家族の負担を最小限に 抑える工夫をしています。
4|利用者さんの感想と忘れられないエピソード
4-1|言葉にならない「ありがとう」に感動
認知症の利用者さんとのコミュニケーションは、言葉ではなく表情やしぐさから想いを汲み取ることも多いです。ある日、普段はほとんど会話ができない90代の女性が、私の手をじっと握って 「あんたは、やさしいねぇ」 と小さく呟いてくださいました。
- 何気ない日常ケアの合間に、ふと感謝の言葉をいただける 瞬間がある
- その一言で 「やっていてよかった」 と心から思える
4-2|自分の存在意義を感じる瞬間
別の利用者さんには、日々の介助の中で「お嬢ちゃんはおいくつ?」と娘のことを聞かれることがあり、家族の話 をするととても喜ばれます。「私にも孫がいてね…」 と昔の思い出話をしてくださり、和やかな空気 が流れるのを感じると、私自身もほっと安心するのです。
こうしたエピソードを夫や娘に話すと、「ママ、すごいね!人の役に立ってるね」 と娘が褒めてくれることも。私が介護の仕事を通じて得られる幸せを、家族にシェアできるのはとても嬉しいことです。
5|これからの目標|さらなる挑戦とプライベートの充実
10年ほど介護の仕事を続けてきて、失敗やつらい経験もたくさんありましたが、利用者さんや家族の支え で乗り越えてきました。今は 「ケアマネージャー」 の資格取得も視野に入れ、勉強を始めています。
- 今後の目標:ケアマネージャー資格を取り、施設内外で総合的なケアプランをサポートしたい
- プライベート:娘がもう少し大きくなったら、一緒にボランティア活動に参加してみたい
「介護の仕事は大変」とよく言われますが、そのぶん 「人のぬくもり」 を感じる機会も多いと私は思っています。利用者さんの笑顔を見るたびに、「頑張ってきてよかった」と感じられるのが、この仕事の魅力です。
まとめ|失敗や苦労も“やりがい”に変えられる仕事
35歳という節目を迎えた今、振り返って思うのは、「失敗はスタートにすぎない」 ということ。新人時代の失敗で学び、成功体験を重ね、転職先でさらに成長し、家族との協力を深められたからこそ、今の私があります。
- 失敗と挫折 → 学びを得て、ケアの知識や実践力をアップ
- 成功体験 → 「自分は人の役に立てる」と実感し、モチベーションが続く
- 家族の支え → 育児・家事の協力体制で仕事のパフォーマンスも向上
- 利用者さんの言葉 → 「ありがとう」の一言で苦労が報われる
これからも変化を恐れず、必要なら転職や資格取得 など新たな一歩を踏み出しながら、利用者さんと家族、そして自分自身が幸せになれる道を模索していきたいと思います。
もし、同じように介護の仕事で悩んでいる方がいらっしゃれば、
1日の終わりに利用者さんの笑顔や「ありがとう」を思い出してみてください。きっとそこに“やりがい”のヒントがあるはずです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!