介護業界は人手不足が深刻な課題となっており、転職希望者にとっては「働き口が見つけやすい」業界と捉えられることもあります。しかし、安易な転職は大きな失敗につながることも。特に30代という働き盛りの世代にとって、仕事選びの失敗は人生設計に大きな影響を及ぼすこともあります。
今回は、30代で介護職に転職した人の「失敗談」を中心に、その背景や失敗の要因、そして後悔しない転職のための対策までを掘り下げてご紹介します。
【目次】
- 30代の介護職転職、なぜ失敗が多いのか？
- よくある失敗談とその背景
- ケース①：収入は増えたが生活リズムが崩れた
- ケース②：マニュアルやサポート体制の不足
- ケース③：体力の消耗と持病の悪化
- ケース④：業務内容のギャップによるストレス
- 他業種からの転職の落とし穴
- 30代ならではの転職リスクと心理的背景
- 失敗を防ぐためのポイント
- 転職エージェントは活用すべきか？
- 成功につながる職場選びのコツ
- まとめ：転職は「情報」と「準備」が鍵
1. 30代の介護職転職、なぜ失敗が多いのか？
介護業界は、未経験者にも門戸が開かれており、特に人手不足の影響から比較的転職しやすい印象があります。実際に30代から介護職へ転職する人は年々増加傾向にありますが、その一方で「思っていた仕事と違った」「体力的についていけなかった」といった理由から早期離職を選択するケースも少なくありません。
30代は、結婚や子育て、親の介護などライフステージの転換期と重なりやすい年代です。転職先の環境が不安定だと、それら生活要因とのバランスを崩し、結果的に働き続けられないという事態にもなり得ます。
2. よくある失敗談とその背景
ケース①：収入は増えたが生活リズムが崩れた
転職前：デイサービス勤務 → 転職後：特別養護老人ホーム
30代前半の男性介護士は、夜勤手当が付くことで収入アップを期待して施設系へ転職。しかし、夜勤・日勤の交代勤務に体がついていかず、生活リズムが乱れて体調を崩すようになりました。
「収入は増えたが、心身の安定を失った」というのが実際の声。夜勤業務の実態を十分に確認せずに転職を決めたことが後悔の原因でした。
ケース②：マニュアルやサポート体制の不足
転職前：訪問介護 → 転職後：有料老人ホーム
30代女性の介護職員が感じたのは、「業務フローの不透明さ」。施設にはマニュアルが存在せず、現場ごとの判断に委ねられていたため、何が正解か分からない日々。上司も忙しすぎて相談できず、不安のなかでの業務が続きました。
「未経験者にも安心して働けると思っていたが、全て自己判断だった」と語る彼女は、数ヶ月で離職することに。
ケース③：体力の消耗と持病の悪化
転職前：販売職 → 転職後：特養
販売業から介護職へ転職した30代後半の女性は、もともと体力には自信がありました。しかし、利用者の身体介助や移乗補助などの肉体労働が続くことで腰痛が悪化。加えて夜勤にも慣れず、慢性的な睡眠不足に陥りました。
「やる気だけでは続けられない」ということを痛感した事例です。
ケース④：業務内容のギャップによるストレス
転職前：看護助手 → 転職後：訪問介護（生活援助中心）
介護の仕事に興味を持ち、訪問介護に転職した30代の男性。しかし、実際の業務は調理や掃除などの家事中心で、本人は料理が苦手。利用者の要望に応えることができず、ストレスを溜める日々となりました。
「人の役に立ちたいと思っていたが、思っていた『介護』とは違った」という現場ギャップに苦しんだ典型例です。
3. 他業種からの転職の落とし穴
介護業界に魅力を感じて他業種から転職する30代も多いですが、業界特有の働き方や職場文化に戸惑うこともあります。
- 「休憩が取れない」
- 「休日も気が抜けない」
- 「感情労働の比重が大きい」
こうした要素は、事前に知っておかないと**「こんなはずじゃなかった」**という結果を招きやすくなります。
4. 30代ならではの転職リスクと心理的背景
30代は、「キャリアアップを目指したい」「収入を安定させたい」「家庭と仕事のバランスを取りたい」といった様々な希望を持つ年代。そのため転職動機が多岐にわたり、自分の本当の優先事項が曖昧なまま転職に踏み切ってしまうケースが多く見られます。
また、経験や自信がある分、プライドが邪魔をして「助けを求めにくい」という心理も失敗につながる原因の一つです。
5. 失敗を防ぐためのポイント
以下は、30代で介護職に転職する際に失敗を防ぐための主なポイントです：
- 事前に職場の勤務形態を確認する（夜勤の有無・回数・実態）
- 現場見学や体験入職で職場の雰囲気を掴む
- マニュアルや研修体制が整っているかを確認
- 自分の体力や生活スタイルに合った働き方かを見極める
- 家事業務の比重や得意・不得意の確認
6. 転職エージェントは活用すべきか？
介護職専門の転職エージェントを利用することで、自分一人では気づけない点を指摘してもらえたり、ブラック職場を避けたりすることが可能です。
- 希望条件のヒアリング
- 非公開求人の紹介
- 面接対策や給与交渉のサポート
といった支援を受けられるため、30代で初めて介護業界に足を踏み入れる人にも強くおすすめできます。
7. 成功につながる職場選びのコツ
- 「人手不足」の度合いを確認：慢性的な人手不足の施設は過重労働の恐れあり
- 「夜勤」だけでなく「夜間の緊急対応」の有無も確認
- 「離職率」や「勤続年数の平均値」も調査
- 「自分の生活リズム」とマッチする働き方を優先
- 「サポート体制」や「教育制度」の充実度も重要
8. まとめ｜転職は「情報」と「準備」が鍵
30代の介護職転職で失敗する人の多くは、「自分に合った職場選びができなかった」ことが原因です。そして、失敗の多くは事前のリサーチ不足にあります。
「介護＝人の役に立つ仕事」と思って飛び込む人も多いですが、実際は自分の生活、体力、価値観とフィットしなければ続けることが難しい職種でもあります。
転職を考える際は、できる限り多くの情報を集め、自分にとって本当に大切なことは何かを見極めること。そして、一人で悩まず、転職エージェントや現場の先輩の声を頼ることが、後悔のない転職への近道です。
