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介護職員の夏休み事情

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〜「たった3日の夏休み」でも、心が軽くなる理由〜

カレンダーを見ながら思うこと

「夏休みの予定、決めた?」

この言葉を聞くたびに、少しだけ胸がざわつく。介護職という仕事に就いてから、「夏休み」という言葉は少し遠い存在になったような気がする。

今は5月。そろそろ友人たちは旅行の計画を立て始め、SNSには「今年は沖縄!」「家族で北海道ドライブ旅」といった楽しげな投稿が増えてくる。そんな中で、私の頭に浮かぶのは「人員確保できるかな」「もし誰かが体調崩したら」という現実的な心配ばかり。

今回は、私自身の夏休み事情を通して、介護職員の有給休暇の実態と、たった3日でも得られる心のリフレッシュについて、少しお話ししたいと思います。


介護業界の有給休暇消化率って、実際どうなの?

介護業界の有給取得率が他業種と比べて低いことは、現場で働いていれば肌で感じる。でも数字で見ると、あらためて驚かされる。

最近の調査によれば、介護職全体の有給消化率は 56.8%。つまり、約4割の職員が有給を満足に取れていないということになる。

特に厳しいのは、訪問介護の管理者や通所系の管理者。訪問系管理者は 63.8% が「有給取得が難しい」と答えている。これは、代わりがいないという構造的な問題と、「休んだら誰かに迷惑がかかるかも…」という心理的な負担が大きな要因になっている。

実際、私の職場でも有給を自由に取得している人は少ない。なんとなく、「取っていいけど、本当に休むの?」という空気が流れている。


「人手不足」という言い訳ではなく、現実

私自身が「休めない」と感じるのは、まさにこの「人手不足」に直面しているから。調査では 59.5% の介護職員が「人手が足りないため有給が取りにくい」と回答している。

たとえば、ある日曜日に誰かが体調不良で欠勤したとする。代わりに出勤するのは誰か? それは、大抵ベテラン職員や管理職。そして、そこに予定されていた自分の休みが「なかったこと」になる。

もちろん、緊急時に支え合うことは必要だと思う。でも、それが慢性化すると、心も体も持たなくなる。だからこそ「意識して休む」ことの大切さを実感するようになった。


たった3日でもいい、休もうと決めた

そんな私が、今年の夏、初めて「3日間だけでも休もう」と決意した。

職場のリーダーに早めに相談し、同僚と調整を始めた。正直、申し訳なさもあったけれど、それ以上に「リフレッシュしないと、パンクする」という危機感があった。

有給取得を促す制度や、働き方改革の影響で、事業所側も少しずつ「休むことへの理解」を示してくれるようになった。私の勤務先も「夏季・冬季休暇+有給で連休を取ってよい」というルールを導入してくれたばかりだった。


旅行先はまだ決めていないけれど

3日間の休みをどう使うかは、まだ決めていない。近場の温泉に行くか、それとも友人と久しぶりに再会するか。

大事なのは、「行く場所」ではなく、「休むという選択をした自分自身」を大切にすることだと思っている。

もしかしたら、旅行先で介護のことを考えてしまうかもしれない。でも、それでもいい。少しでも日常から距離を置くことで、また前向きな気持ちで現場に戻れるのなら、それは立派な「夏休み」になるはずだ。


同僚たちも、少しずつ変わり始めている

この数年で、職場の空気も少しずつ変わってきた。

たとえば、ある同僚は「有給使って2泊3日で娘とディズニーに行ってきたよ」と笑顔で話してくれた。彼女は、後ろめたさを感じないように、引き継ぎメモやスケジュール調整をしっかり行っていた。

そういう姿を見て、「あ、ちゃんと準備すれば、私たちも休んでいいんだ」と思えるようになった。

CUCホスピスという事業所では、有給消化率が 62.2% にまで上昇しており、「職員の生活の質向上」に本気で取り組んでいるという。そんな好例が、業界全体にもっと広がってほしい。


夏休みは、「心を立て直す時間」

介護という仕事は、心身ともにエネルギーを使う。だからこそ、定期的に「立ち止まる時間」が必要だ。

たった3日間でも、旅行でも、読書でも、何でもいい。「自分の時間を持てた」という実感は、日々の働く力になる。

今年の夏、私は「有給=権利」であることを再確認し、自分のために使うと決めた。きっとそれが、利用者さんに向き合う自分の優しさにもつながると信じている。


さいごに:夏に向けて、準備を始めよう

この記事を読んでくださっている介護職のみなさんへ。

今年の夏、3日だけでも、いや1日でもいいから「自分のために休む計画」を立ててみませんか?

有給休暇を取ることで得られるのは、「時間」だけではありません。「自分を大切にしている」という自覚こそが、次のステップへのエネルギーになると、私は思います。

人手不足は現実。でも、それに飲み込まれないように、自分の人生もちゃんと大切にしたい。

あなたにも、私にも、きっと素敵な夏が訪れますように。